日本拳法簡説
日本拳法は、故澤山宗海宗家が、昭和7年に日本で初めて防具着装による実戦の拳法を創始したことにその歴史を発しています。安全な防具を着装することにより、突き・蹴り・投げ・逆取り・のすべての実戦練習が可能となり、格闘技の神髄を追求すべく日本拳法が誕生しました。
従来、突き・蹴り技は、格闘技の歴史の始まりである古代相撲においても、戦国時代の武家の体術である柔術においても、重要な決め技であったのですが、近代に於いては安全性を重視するために次第に禁じ手とされてきました。また中国から沖縄に渡来して発展した唐手もその強力な打撃力のため、形稽古または寸止めにての組手稽古にせざるを得ませんでした。
しかし、剣術が江戸時代に防具が創案されてから飛躍的にその技術が発達したのと同様に、防具を着用する日本拳法は、突き・蹴りの実戦の技をみがくために必然的に発生した武道と言えます。
国内では早くから自衛隊の徒手格闘拳法として、全国に訓練競技として取り入れられており、さらには警察の逮捕術にも日本拳法の技術が採用されています。また最近、特に女性においては、その護身性の高さから大きな注目を浴びて来ております。
更には、海外においても、安全性が高く、合理性を持った格闘技競技として、最近は16カ国(フランス・イタリア・メキシコ・アメリカ・ロシア・イギリス等)に日本拳法を修練する者が増えてきており、世界に普及の輪が広がりつつあります。
試合としては、3本勝負法で勝敗が決せられます。つまり、2本先取した方が勝ちとなります。この1本は、防具着装部(面・胴)に、形にのっとった強烈な突き・蹴り・逆取りが決まった場合に認められます。この認定は公平を期する為に、3人の審判員の2人以上の認定を必要とし、観客に分かり易くするために、審判員の意志表示は旗によって進行いたします。